コラム KAZU'S VIEW
2017年03月
想定外の春一番は脅威か機会か?
今年の正月は2人の孫と一緒に元旦に初詣をして楽しい時を持てた.ここ数年,この2人の孫からは色々なことを教わった.これからの第二の人生は彼らからもっと学ぶことを楽しみに,身の回りの整理を2年間かけて進めてきた.三が日が過ぎたある日,電話があり,ある学会の会長職を依頼された.突然の想定外の出来事に戸惑いつつも,自分の人生を取り巻く環境変化をどう受け止め,自分の第二のライフデザインをするかを暫し,考え,立候補を決めた.その過程で,計画された偶然性(Planned Happenstance)[1]を思い出した.
私が立候補の抱負で掲げたのは,「夢ある学会」であった.今日,多くの学会が会員数の減少など様々な問題を抱えている.そもそも学会とはどのような価値を社会に提供する組織なのか.その組織に所属する,あるいは所属したい人は何を期待しているのか.また,彼らの夢とは何か.この学会はマネジメント技術を研究対象としている.マネジメントという言葉から連想されるイメージは何であろうか?管理・統制,制御,コントロール,経営・・・などなど,今時,余り明るいイメージを連想させない日本語のような気がする.その要因として,これらの言葉には2つの明確な利害関係者が連想される.例えば,管理される側と管理する側,経営される側と経営する側,教育される側と教育する側などである.例えば,経営管理というような言葉が巷(チマタ)では何気なく使われる.経営管理という言葉を辞典・事典などで引くと,以下のような記述が見られる.「企業における生産・販売・労務・財務などの管理を,総括的に効率よく調整するなどの全般的な管理.企業だけでなく組織集団全般についてもいう」(大辞林 第三版[2]より引用).「組織における人間の諸活動を意図的に調整・総括し,その目標の効率的な達成をはかること,あるいはそのための諸技術をいう」(ブリタニカ国際大百科事典[2] より引用).経営管理という用語は,以下の二つの形成過程が推測される.1つは経営体の管理という意味,2つめは「経営と管理」の合成である.すなわち,経営(Administration)と管理(Management)を区別するものである.ところで,経営体とは,複数の人間から構成されるいわゆる組織が相当する.この組織は社会という概念にも通じる.例えば,国家,企業,学校,家庭などは,すべて組織であり社会であろう.ジュール・アンリ・ファヨールというフランス人がその著書「産業ならびに一般の管理」の中で企業の経営活動(職能)として以下の6つの活動を上げている[3].技術活動,商業活動,財務活動,安全(保全)活動,会計活動,そして管理活動である.この中で管理活動を予測(計画),組織(化),指揮(指示・伝達),調整および統制のプロセスとして認識している.彼は,F.W.テーラーとほぼ同時代に生を受け,共に今日の科学的マネジメントの産みの親(父母)に当たる人物である.すなわち,計画(Plan)-実施(do)-評価(Check)-改善(Act)の管理のサイクルのルーツがここにある.この「管理」という言葉を何気なく使っているが,管理という日本語がどのように創り出されたのか,大変興味を持った.広辞苑(第六版)よると,「経営は・・・・管理すること.」([4]より引用)となっていた.経営=管理なのか?
管理という概念を対組織や社会だけでなく,個人の生き方に応用拡大することで,マネ
ジメントの新たな価値創りの幅が広がるのではないか.マネジメントは,夢を描き,実現するための知識と技能という定義を提唱し,社会に認知してもらうというのが今,この機会に描いた私の夢である.その夢が多くの人の共感をよべば,その夢の実現は組織(学会)による実現となろう.
夢とは今,実現していないことであろう.その夢の実現には学習が必要になる.人はなぜ学ぶのか?の私の答えは,「より良く生きるため」である.自分の知らない,今よりより良い生き方があることを信じつつ,学び続ける.学び続けた結果の評価は自分事で良いのであろう.すなわち,人は自分の好きなようにどれだけ生きたかが人生満足度になろう.人は,人に教えられなくても学ぶ能力は生まれながらに持ち合わせている.これは,孫から学んだことである.人は全て「生きるということの芸術家」([5]より引用)であるという鈴木大拙の言葉が思い出される.同時に,「今日の我に,明日は勝つ」([6]より引用)という美空ひばりの歌にも共通するものを感じる.
学会の使命は新たな理論・技法を創り出すことが従来のものであった.しかし,その創りした理論や技法が社会的な価値を生み出してこそ,学会の存在価値が社会に認知されよう.そのためには,創った理論や技法を社会に伝え,応用することをサポートする人材育成が必要となろう.その意味で,学会に人材育成機能が必要で有り,そのための学習法の理論,技法の構築が求められているのでないか.人材育成(教育)は,サービスマネジメントの先端的研究課題であろう.そんな機会として今年の春一番をワクワク感とドキドキ観を持って受け止めたい.
参考・引用文献・資料
[1] John D. Krumboltz, Al S. Levin, Luck is no accident: making the most of happenstance in your life and career, Atascadero, Calif.: Impact Publishers, (2010)/J.D.クランボルツ, A.S.レヴィン著 ; 花田光世, 大木紀子, 宮地夕紀子訳,その幸運は偶然ではないんです! : 夢の仕事をつかむ心の練習問題,ダイヤモンド社(2005)
[2] コトバンク,
https://kotobank.jp/word/%E7%B5%8C%E5%96%B6%E7%AE%A1%E7%90%86-58557,
2017.3.22アクセス
[3] ジャン-ルイ・ポーセル編著, 佐々木恒男訳,アンリ・ファヨールの世界,文眞堂(2005)
[4] 新村 出編著,広辞苑 第六版 (普通版) ,岩波書店(2008)
[5] 鈴木大拙館,鈴木大拙のことば−32(館内配付資料)(2017年1月)
[6] 作詞保富康午,作曲 猪俣公章,日本コロムビア(1989)
以上
平成29年3月

