コラム KAZU'S VIEW

2021年11月

2年ぶりに会った孫達の変化にアフターコロナへの期待


2年ぶりに孫3人と同じ空間と時を共有する機会を得た.コロナ禍でリモートだけで顔を見,声を聞いてはいたが,実物に出会うと,情報量の違いを明確に認識出来る.特に,その息遣いと共に体全体からの躍動感を通じて得られるエネルギー感がリモートでは味わえない感覚である.改めてデジタルに頼るしかなかったこの2年間のコミュニケーションの体験は,アナログの重要性とデジタルの限界性を学ぶ良い機会となった.このところ,大分,コロナ感染拡大状況が収まってきた感があるが,新たな脅威としての変種株,オミクロン株(注1)の感染拡大と,冬場に向かっての感染拡大環境の到来を考えると,この2年間の新型コロナとの共存生活の経験を,これからどのように活かすのかを考える期間と今を捉える必要があろう.
 
3人の孫は,今年,七五三のお祝いを迎えた.七五三という文化の背景には,昔の日本は食糧事情が悪く,幼児死亡率が高かったため,生まれた子供が健康に成長することは簡単なことではなかったことがある.三歳(髪置き:カミオキ),五歳(袴着:ハカマギ),七歳(帯解き:オビトキ)(注2)と,それぞれの年齢まで無事に成長できたことを神様に感謝し,年齢に見合った魂になるための儀式として継承されて来ている.3つの数字は年齢を意味する.3歳は,「三つ子の魂 百まで」で象徴される年齢で,幼いころの性格は,年をとっても変わらないという意味で,英語では“The child is father of the man.”という表現になる.3歳は幼い年齢の象徴であるが,幼少期に人の心の核となるものを培う,それだけ大事な年頃だという意味になる.一方,5歳は,男の子のためのお祝い.男性の正装である袴を着けて行う.これは江戸時代の武家の習いからきており,「子ども」だった者が「男子」としての教育を受け始める儀式を意味する.これに対し,きものを着て帯を締める,女の子だけのお祝いが7歳で女性としての心と嗜(タシナミ)みを身に付け始めることが求められる.男子の5歳と女子の7歳は,どちらも意味は同じで「その年齢にふさわしい,魂の切り替え時,魂づくり」の儀式とされた.かつては「7歳で氏子入り(7つまでは神のうち)」といわれた.「氏子」とは,地域を守る神様である氏神様の子,という意味で,7歳になると地域社会を構成する一員と考えられていた.神社での礼拝は「二拝二拍手一拝」が一般的である.拝(ハイ)はお辞儀,拍手(ハクシュ:カシワデ)は手を合わせて打つこと.この作法を,家族そろって行うことに意義があるという.すなわち,親が発する気配を子どもが感じ取り,息を合わせて拝をし,柏手を合わせて打つ.神様と人,そこに集う人と人が,目に見えない気を通して「家族がひとつになる」ことの体験が,子どもの成長のための大きな財産になるという[2]考えに基づいた文化的風習である.
  
3番目の孫は前回会ったときは生後間もなくの頃であったが,2年間で姉兄達と共に走り回り,会話もそこそこ出来る様になっていた.2年間の成長が目に見えて分かり,人間の成長力の素晴らしさを,改めて実感できた.姉と兄は見た目にはそれほど明確な変化は分からなかったが,身長を測って見ると2人共に15儖幣綽びていた.また,長女は4月から小学校に入り,パソコンを使った学習をしていると言うことで,その様子を実演してくれた.大学でここ2年間,リモート授業をしているが,小学校入学直後からリモート学習の体験をした人間が,今後どのような成長をするのか?また,このような教育環境を当たり前とした今後の教育が,これまでのアナログ面に主体をおいた教育の良さを継承しつつ,新たな可能性をデジタルな側面で拡大,創造することが本格的な課題になってきていることを実感した.長男は上下を女性に挟まれて,守勢気味な行動様式を見せていたが,ゲームに関心を持ち,その勝敗に拘る性格が寡黙な中でも自己主張の強い側面を持っている様子がうかがえた.

 コロナ禍に追われ続けた2年間という時間が,2年ぶりの孫達との再会で彼らに大きな成長という変化を与えた事を考えてみると,時が移っていることを実感できた.2019年に大坂なおみ選手がテニスの世界(注3)で,2020年には藤井聡太棋士(注4)が将棋の世界で,そして,2021年には,大谷翔平選手が野球の世界で大活躍し(注5),我々の心を鼓舞し,楽しませてくれてきている.若い彼らの活躍は,国や企業の力が世界に影響を与えるのではなく,若い日本人個人の力が世界に影響をおよぼす時代になった事を意味する.アフターコロナで日本人が世界を股にかけて,どのような活躍をするか,明るい日本の未来を垣間見るような気分になった

(注1)オミクロン株とは,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株の一つ.令和3年11月28日,国立感染症研究所は「懸念される変異株」と位置付け,警戒を高めている[1].国内では,11月30日に最初の患者が確認された[1].未だその特性は不明な点が多いが, その特徴は,ウイルスが人の細胞に感染するときの足掛かりになる「スパイクタンパク質」の変異が30以上あることが指摘されている.こと特徴はより感染力が強い可能性を示唆している. デルタ株やアルファ株に比べ,より多くの変異が見られる変種とされる.現在の技術では,変異の条件を操作的にかえることでウイルスの変異をシミュレーション解析である程度予測できるとされる.
(注2)髪置きは,子供が髪を伸ばし始める3歳の節目に行う儀式で,頭に糸で作った綿白髪(ワタシラガ)を乗せて長寿を祈願する行事.平安時代頃には,赤ん坊は髪を剃って坊主にする風習があったため,髪を伸ばし始めることは,ここまで無事に成長できた印とも言えた.頭に綿白髪を乗せるのは,髪が白くなるまで長生きして欲しいという,親の願いが込められている.
袴着は着袴(チャッコ)とも言い,子供が初めて袴をつける時に行う儀式で,碁盤の上で吉方を向いて行いる.平安時代には公家だけの風習で,男女の区別なく5〜7歳の頃に行われていたが,時代とともに武家や庶民にも広まり,江戸時代頃には男児のみの儀式になり,年齢も5歳に定着した.
帯解きは,紐付きの子供の着物から卒業し,本裁(ホンダ)ちの着物に帯を締めるようになる節目に行われた儀式.本裁ちは,仕立て直せば大人の着物として着ることができる着物で,本裁ちを着て帯を締めることは,子供が大きく成長した証として喜ばしいこととされた.室町時代には,男女の区別なく9歳頃に行われていたが,江戸時代頃に7歳の女児が行う儀式になった[2].
(注3)大坂なおみは,グランドスラム通算4勝で,2018年と2020年の全米オープン,2019年と2021年の全豪オープンで優勝している.
(注4)藤井聡太は,2021年11月末時点で竜王,王位,叡王,棋聖の4冠を史上最年少で獲得している.来年は,5冠をかけて王将戦に臨む.
(注5)大谷翔平は,2021年度の活躍に対し,以下の10種の受賞を果たしている.
MLB選出「コミッショナー特別表彰」,
米誌「ベースボール・ダイジェスト」最優秀選手(野手部門)
米誌「ベースボール・アメリカ」年間最優秀選手
米誌「スポーティングニュース」年間最優秀選手(MLBプレーヤー・オブ・ザ・イヤー)
選手間投票「年間最優秀選手」
選手間投票「アメリカン・リーグ最優秀野手」
シルバースラッガー賞
アメリカン・リーグMVP
オールMLBチーム
エドガー・マルティネス賞

参考文献・資料
[1] 東京都福祉保健局,オミクロン株に関する情報,
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/henikabu/omicron_info.html ,  2021年11月30日アクセス
[2]  平井かおる,神社の神職さんに教わる七五三本来の意味(2021年版),知らなかった日本に出会える ハッケン!ジャパン, 2021年9月18日投稿.
https://hakken-japan.com/columns/753/ ,2021年11月23日アクセス
[3] happilyフォトスタジオ,七五三の由来・意味とは, https://www.happilyphoto.jp/column/256987/ ,2021年11月23日アクセス
以上
令和3年11月


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